東京高等裁判所 昭和47年(ネ)2718号 判決 1974年3月28日
第一審原告(二七一八号事件被控訴人、二七五八号事件控訴人) 塩原勝美
右訴訟代理人弁護士 岩切三市
同 増山芳郎
第一審被告(二七一八号事件控訴人、二七五八号事件被控訴人) 有限会社 馬橋紙店
右代表者代表取締役 馬橋金一
右訴訟代理人弁護士 田中登
同 羽生雅則
同 大内猛彦
同 二宮充子
同 成見幸子
右訴訟復代理人弁護士 青山陽一
主文
一、第一審原告の控訴により原判決を次のとおり変更する。
第一審被告は、第一審原告に対し金一七二万八、二六六円および内金一五七万八、二六六円に対する昭和四六年一一月三日から右支払いずみまで年五分の割合による金員の支払いをせよ。
第一審原告のその余の請求を棄却する。
二、第一審被告の控訴を棄却する。
三、訴訟費用は第一、二審を通じこれを五分し、その三を第一審原告の、その二を第一審被告の各負担とする。
四、この判決は、第一審原告勝訴の部分に限り仮に執行することができる。
事実
第一審原告訴訟代理人は、「原判決を次のとおり変更する。第一審被告は、第一審原告に対し金六二七万四、二六〇円および内金六〇七万四、二六〇円に対する昭和四六年一一月三日から右支払いずみまで年五分の割合による金員の支払いをせよ。訴訟費用は第一、二審とも第一審被告の負担とする。」との判決並びに仮執行の宣言を求め、第一審被告の控訴に対しては控訴棄却の判決を求め、第一審被告訴訟代理人は、「原判決中、第一審被告敗訴の部分を取り消す。第一審原告の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも第一審原告の負担とする。」との判決を求め、第一審原告の控訴に対しては控訴棄却の判決を求めた。
当事者双方の事実上の陳述および証拠関係は、次に付加するほか、原判決事実摘示のとおりであるからこれを引用する(但し、原判決書添付の別表中「互助金等」欄の「計 円(D)」の第一行目の「76844」を「76884」と訂正する。)。
一 第一審原告の事実上の陳述
1 本件事故は、第一審原告にはなんらの過失はなく、第一審被告の使用人たる山崎七郎(被告車の運転手)の全面的過失に起因するものである。
すなわち、右訴外山崎七郎が被告車を運転して国道一二五号線を横断し向町方面から谷郷方面に進行せんとした支線道路は幅四・五メートルであるにかかわらず、道路交通法に違反して道路の中央を進行したため優先道路から右支線道路に左折進行せんとしたA車が左折できなかったものである。従って山崎七郎は被告車を後進させてこれを右支線道路の左側に寄せてA車を左折進行させる義務があるのにかかわらずこれをなさず、あるいはA車を左折進行させるために被告車を前進させるとしても優先道路を進行する車輛の進行を妨害しないため右支線道路の左側に被告車を寄せて進行しA車を左折進行させ、かつ優先道路の国道一二五号線を加須市方面から熊谷市方面に向う左側車線を進行する車輛を妨害しないため国道一二五号線の歩道の線で停止すべき義務があるものである。しかるに山崎七郎が少なくともA車の後尾の線以上に国道一二五号線に被告車を進行させたのは、山崎七郎の全面的過失であってこれにより本件事故は惹起されたのであり、第一審原告にはなんらの過失はない。
2 第一審原告は、原審において第一審被告の主張にかかる、強制保険金三五万九、一六〇円の受領の事実を認めたが、これは真実に反しかつ錯誤に基づくから右自白を撤回する。すなわち、本件事故による損害金として強制保険により支払われたのは金五〇万円であって、その内金三二万〇、五九三円は医療関係費であり、本訴では右医療関係費はこれを請求していない。右の残余の金一七万九、四〇七円が右医療関係費を除く損害金として保険会社から直接第一審原告に支払われたものである。第一審被告が後記において主張する強制保険金三八万四、五六〇円は、第一審原告に直接支払われた右残余金のほか医療関係費を含む損害金額であるから、右残余金一七万九、四〇七円以外は不当である。
二 第一審被告の事実上の陳述
第一審原告の主張事実中、
1の事実は争う。
2の自白の撤回には異議がある。
第一審原告が直接受領した強制保険金は金一七万九、四〇七円であるが、そのほかに第一審原告は自己が治療を受けた医療法人行田外科病院に対し強制保険金内払金一〇万円の請求を委任し、昭和四五年三月頃右内払金が支払われた。また同様に昭和四六年七月頃第一審原告が加入している地方職員共済組合(埼玉県支部)に対し金一〇万五、一五三円の強制保険金が支払われているのである。以上合計金三八万四、五六〇円が強制保険金として支払われているのであって、これが損害の填補であることは明らかである。
三 立証関係≪省略≫
理由
一 本件事故の態様、第一審原告の本件事故による受傷の状態については、原判決のこの点に関する説示(原判決書九枚表第一一行目より同裏第二行目までの部分)は相当であるから、ここにこれを引用する。
二 帰責原因について。
1 原告車が国道一二五号線(車道の幅員九メートル)を加須方面(南方)から熊谷市方面(北方)に向って進行し本件交差点にさしかかったこと、原告車の前方を同一方向に進行していたA車が本件交差点を左折しようとしたこと、被告車が向町方面(西方)から谷郷方面(東方)に向って進行し本件交差点にさしかかったことは、いずれも当事者間に争いがない。≪証拠省略≫を総合すれば、被告車の進行した国道に交差する道路(以下市道という。)の幅員は四・五メートルであること、国道の両側には歩道(幅員約三メートル)が設置されていたこと、被告車(長さ四・六九メートル、幅一・六九メートル)は前記のごとく市道を谷郷方面(東方)に向って進行し、本件交差点直前(国道の西側歩道の内側線辺)で一時停止した後、再び発進して右歩道の外側線(国道の車道と歩道との接する線の延長線)まで進行して停止したところ、これと前後して加須方面(南方)から熊谷市方面(北方)に向って進行してきたA車(ニッサンバン、長さ四・六九メートル、幅一・六九メートル)が右市道を左折しようとして被告車を認め、交差点の西南角あたりで車輛の前部を向町方面に向けて斜に停車したこと、被告車の運転手山崎七郎はA車の前部を通過して国道を横断し谷郷方面へ進行しようとしたが、北方熊谷市方面からの車輛の通行が頻繁で国道を横断することができないでいたので、A車も左折することができなかったこと、ところで右山崎七郎は、折から熊谷市方面から進行してきた普通乗用車が本件交差点の直前辺で停止してくれたのを認め、反面加須市方面からの車輛三台ぐらいが引きつづいて本件交差点を通過したのをみて車輛の通行が一時途切れたものと思い、同市方面からの進行車輛の有無等を確認しないまま、直ちに約一〇キロメートルの速度で被告車を直進せしめたところ、市道から約二メートル半交差点内に進入した地点で、加須市方面から進行してきた原告車の左側ハンドル等に被告車の前部を接触せしめ、これがため原告車はハンドルをとられて交差点の北東角辺に暴走しそこで転倒したこと、他方第一審原告は原告車を運転して加須市方面から熊谷市方面に向って進行してきて、A車の約三〇メートル後方でA車と被告車が前記のような状態で停止していたのを目撃したが、被告車が前記のように発進するとは思わずになんら減速する等の措置をとることなく、そのまま時速約四〇キロメートルで進行し、A車の後部右角をまわるようにして通過して本件交差点に入ったところを本件事故に遭遇したものであることを認めることができ(る。)≪証拠判断省略≫
2 右認定事実に徴すれば、本件事故は、被告車の運転手たる山崎七郎が右方加須市方面の車輛通行の動静を確認しなかった過失と、原告車の運転者たる第一審原告がA車の後方約三〇メートルの地点で被告車とA車との停止している状況を認めながら、減速等の事故回避の措置をとらなかったことの過失の競合により惹起されたものとみるべきである。
3 第一審原告は、原告車が優先順位にあるから右のごとき減速等の措置をとる義務がない旨主張するが、前記のように被告車とA車が市道入口で、国道上の車輛の頻繁な通行と相まって進退に窮していたところ、熊谷市方面からの普通乗用車が交差点直前で一時停止して避譲し、折から原告車の前方を進行していた車輛三台ぐらいが交差点を通過して加須市方面からの車輛の通行が一時途切れたかのごとき交差点内の状況から推して、被告車があるいは発進するかも知れないという可能性も考えられないではなかったのであるから、第一審原告は原告車を減速する等して事故を未然に防止する措置をとるべき義務があったものとみるべきであり、しかるにかかわらず自己の優先順位にあることから軽卒にも被告車が発進することはないであろうと考えて、減速等をせず前記のごとく時速約四〇キロメートルで本件交差点に進入したのであるから、第一審原告にも前記説示にかかる過失ありと解するを相当とする。
三 第一審被告の責任については、原判決のこの点に関する説示(原判決書一一枚裏第七行目より同第一〇行目までの部分)は相当であるから、これを引用する。
四 損害
1 逸失利益について
(一) 第一審原告が本件事故により被った症状、同人の職業・経歴については、原判決のこの点に関する説示(原判決書一二枚表第三行目より同一三枚裏第六行目までの部分)は相当であるから、ここにこれを引用する。
≪証拠判断省略≫
(二) ところで、第一審原告は、右のごとく技術吏員から事務吏員に任命換えされたのは本件事故による後遺症のためである旨主張するので、この点につき検討するに、≪証拠省略≫を総合すれば、第一審原告は、本件事故前より埼玉県加須土地改良事務所において技術吏員として測量、製図等登記関係の事務に従事していたが、本件事故後においては後遺症のため事務能力の低下をきたし、製図等の精密な作業に錯誤が多かったため、部下の原田慶司にこれを手伝わせ、自らは登記関係書類の取りまとめ等単純な事務にたずさわってきたこと、ところで第一審原告は、主任になることを希望し有力者の運動もあって昭和四六年七月一日付で埼玉県技術吏員に任命され同県加須土地改良事務所主任に補せられたが、前記のごとく後遺症のため単純な事務にしか向かなかったところから同年一〇月一日付で同県事務吏員に任命換えとなり、同県春日部土地改良事務所主任に補せられたこと、同県においては、慣行として技術吏員の定年は六二年、事務吏員のそれは六〇年であり、当該年度の四月三〇日までに定年に達する者は同日限り、翌五月一日以後に定年に達する者は翌年四月三〇日限り勧奨退職するということになっていたことを認めることができる。≪証拠判断省略≫
右認定事実によれば、第一審原告が技術吏員から事務吏員に任命換えとなったのは、本件事故に因る前記後遺症に起因するものとみるのが相当であり、右任命換えにより第一審原告の定年は技術吏員の六二年から事務吏員の六〇年となり、結局その定年は二年早められたこととなるわけである。
(三) そこで、第一審原告の右逸失利益の額を算定するに、≪証拠省略≫を総合すれば、第一審原告は、昭和二三年二月二九日土木技術見習を命ぜられ、爾来前記のごとく昇給昇格して昭和四六年七月一日付をもって埼玉県技術吏員に任命され、四等級二〇号給、月額金九万三、四〇〇円を給せられることになったこと、そこで第一審原告の事務吏員としての勧奨退職時(六〇年)すなわち昭和五六年四月三〇日の翌日以降における給与についてみるに、同県の「職員の給与に関する条例」第四条第七、八項(昇給の基準)および同条例別表第一「行政職給料表」によれば、第一審原告の属する前記四等級における給料の幅の最高額である二七号給月額金一一万二〇〇円に達するまでは毎年一号宛昇給することとなり(第一審原告についていえば毎年七月一日昇給)、昭和五三年七月においては四等級二七号給、月額金一一万二〇〇円に昇給することが認められる。しかし、第一審原告がその後いつ昇給又は昇格するか、昇給するとすれば昇給額はいくらであるかについてはこれを認めるに足る証拠はない。もっとも、当審証人増山芳郎は前記退職時においては昇格して三等級二四号給、月額金一一万七、〇〇〇円に昇給し、昭和五六年七月一日においては三等級二五号給、月額金一一万九、二〇〇円、昭和五七年七月一日においては三等級二六号給、月額金一二万一、四〇〇円に昇給すべきこととなると証言するが、前記「職員の給料に関する条例」第四条第一項、第九項の規定に照らし右証言はたやすく採用し難く、他に右証言を裏付けるような証拠は見当らない。してみれば、第一審原告の前記退職時(六〇年)における給料月額、従ってまた技術吏員としての勧奨退職時(六二年)における給料月額は前記二七号給、月額金一一〇、二〇〇円であると認めるほかはない。なお、前掲増山証人は退職手当の算定については二号給上位の号給に昇給したものとして右号給を基準とする旨証言するが、右証言も第一審原告が前示のように四等級における最高の号給にある場合には、前記条例第四条第一項、第九項の規定に照らしにわかに採用し難く他に退職手当算出の基準となる給料月額を認めるに足る証拠がないので、右給料月額も前記二七号給月額一一〇、二〇〇円であると認めるのほかはない。更に、前記各証拠によれば、扶養手当については前記条例第八条第三項により、期末手当・勤勉手当については前記条例第一九条第一、二項、第一九条の二第一、二項により(但し調整手当を除いて計算)、それぞれ算出することとなることが認められる。しかしてこれらの給与・諸手当の合計額から互助金等、税金、年金収入を控除した残額、並びに定年が前記のごとく二年早められることによる年金差額(後記参照)および退職金差額を加算したものが第一審原告の喪失した得べかりし利益(逸失利益)となるわけであるが、右の互助金等については「地方職員共済組合定款」第二九条第一、二項により、年金収入については「地方公務員等共済組合法」第四四条、第七八条により、退職手当については「職員の退職手当に関する条例」第五条、「退職手当支給割合一覧表」によりそれぞれ算出され、右計算の結果は別紙「各年度別喪失賃金表」「退職手当・年金計算表」記載のとおりであり、結局第一審原告の定年が二年早められることによる喪失賃金等(年金を除く。)は前者の表「喪失賃金等」欄記載の金額になるわけであり、その合計は金一八一万三、四一一円となる。これをホフマン式計算法により年五分の割合による中間利息を控除して本件事故当時の現価を算出すると、その逸失利益の合計額は金一一〇万六、三七九円(646,901円×((9.2151-8.5901=0.6250))=404,313円+893,211円×((9.8211-9.2151=0.6060))=541,285円+273,299円×((10.4094-9.8211=0.5883))=160,781円)
となる。次に、前記のごとく、地方公務員等共済組合法第四四条、第七八条によれば、第一審原告の退職年金の額は、六二年で定年になれば金八二万六、五〇〇円であるが、六〇年で定年になると金七八万六、〇一七円であるから、退職年金に関する逸失利益はその差額金四万四八三円である。そして第一審原告の本件事故当時の年齢(四八年九箇月)、近年における平均寿命の延長、第一一回生命表による平均余命(四八年で二四・〇五、四九年で二三・二二)等を勘案すれば、第一審原告は本件事故当時よりなお二四年余の余命を有するものと推定するを相当とするから、六二年の定年後である昭和五九年一月一日以降昭和六八年一二月三一日までの一〇年間は右年金差額を受領できなくなるところ、これをホフマン式計算法により年五分の割合による中間利息を控除して本件事故当時の現価を算出すると金二〇万六、〇七〇円(40,483円×((15.4997-10.4094=5.0903)))となる。
以上の次第で、第一審原告の定年が二年早められることによる逸失利益は右合計金一三一万二、四四九円相当となるわけである。
2 慰藉料について
≪証拠省略≫によれば、第一審原告は昭和四四年一一月一八日まで病気休暇をとり、その後出勤したが、眩暈、頭痛、疲労や左耳難聴等の後遺症を訴え、これがため前記のごとく執務能力の低下をきたし、有力者の運動により主任の地位に就いたものの、将来の昇進に希望を失ったこと等諸般の事情を考慮し、他方本件事故発生における第一審原告の前記過失を参酌すれば、第一審原告の精神上の苦痛は金八〇万円をもって慰藉するのが相当と認める。
3 弁護士費用
≪証拠省略≫によれば、第一審原告がその訴訟代理人らに本件訴訟を委任し弁護士費用として最低限度を支払う旨を約したことを窺い得るが、後記五、4の実損害額その他本件事件の難易等諸般の事情に鑑みて、弁護士費用は金一五万円をもって相当と認める。
五 過失相殺と損害の填補
1 前記二の認定事実によれば、第一審原告と被告車の運転手たる山崎七郎との過失の割合は二対八と認定するのが相当である。従って前記認定の逸失利益についての損害額を右過失割合により按分すれば、本件事故により第一審原告の被った右損害額は金一〇四万九、九五九円となるわけである。
2 第一審被告が、第一審原告に対し治療費金九万六、六八五円、付添看護料金四万四、一五五円を支払ったことは当事者間に争いがなく、合計金一四万〇、八四〇円のうち第一審原告の過失割合に相当する二万八、一六八円は右1の損害額から控除すべきである。
3 第一審原告が強制保険金三五万九、一六〇円を受領したとの抗弁事実については、第一審原告は原審においてこれを認めたが、当審において右自白は真実に反しかつ錯誤に基づくとしてこれを撤回し、第一審被告はこれに対し異議を述べたので、この点について検討するに、≪証拠省略≫によれば、第一審原告は本件事故にかかる強制保険金五〇万円の内金三二万〇、五九三円を医療関係費として支払い、損害賠償額として残金一七万九、四〇七円を受領したことを認めることができる。右によれば、第一審原告の自白の撤回は右残額を越える部分については理由がある。しかして右のごとく、第一審原告は強制保険金として右金一七万九、四〇七円の支払いを受けたのであるから、第一審被告のこの点に関する抗弁は右の限度で正当であるが、その余は失当として排斥を免れない。しかし、医療関係費として支払を受けた金三二万〇、五九三円のうち第一審原告の過失割合に相当する金六万四、一一八円は前記1の損害額から控除すべきである。
1.各年度別喪失賃金表
2.各年度別喪失賃金表
3.各年度別喪失賃金表
4 以上の次第で、第一審原告の前記逸失利益の損害金九五万七、六七三円(前記1の損害金一〇四万九、九五九円より金二万八、一六八円と金六万四、一一八円の二口を控除した金額)慰藉料金八〇万円の合計額金一七五万七、六七三円より右支払を受けた強制保険金を控除した残額金一五七万八、二六六円が本件事故により第一審原告の被った実損害額となる筋合である。
六 結論
第一審原告の本訴請求は、第一審被告に対し右損害金一五七万八、二六六円、弁護士費用金一五万円合計金一七二万八、二六六円およびこのうち前者の金一五七万八、二六六円に対する訴状送達の日の翌日たること記録上明らかな昭和四六年一一月三日から支払いずみまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で理由があるから、これを認容し、その余は失当として棄却すべきである。
当裁判所の右判断と一部結論を異にする原判決はこれを変更し、第一審被告の控訴は理由がないからこれを棄却すべきものとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法九六条、九二条を、仮執行の宣言につき同法一九六条を各適用して主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 久利馨 裁判官 舘忠彦 裁判官井口源一郎は転補のため署名押印できない。裁判官 久利馨)
<以下省略>